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子供の矯正を始める前に知っておくこと〜いつから?始めるタイミング~

東京都渋谷区広尾にある歯医者『モウリデンタルクリニック』院長の毛利です。
今回のテーマは「小児矯正」について解説していきます。
お子さんの矯正をはじめたいと考えているお父さんお母さんに、矯正を始める前に知っておいてほしい小児矯正についてまとめました。
『思っていたのと違った』となる前に、リスクなどを把握してから矯正治療の相談をしてみてください。

目次

  1. 歯の生え始めと乳歯列の完成
  2. 歯の生え代わりと永久歯列の完成
  3. いつから?始めるタイミング
  4. 矯正治療の注意点
  5. 矯正医の選び方
  6. 歯並びを悪くする原因
  7. 抜歯か非抜歯か?

1.歯の生え始めと乳歯列の完成

生後6か月あたりから下顎の中切歯から生え始め、全ての乳歯が揃うのが3歳前後です。
大人の歯(永久歯)でよい歯並びになるかどうかは3歳までの過ごし方が大きく影響します。まず、子供にはきちんと栄養を与えること。近代の食文化の傾向として、加工食品の増加、特に砂糖をはじめとする糖質を過分に含んだ食品が増加しています。
そのため、子供が本来摂取できるはずの栄養が、加工食品等に置き換わることで、十分な栄養を取ることができなくなる傾向があります。
良い歯並びを獲得するためには顎骨の十分な成長が不可欠です。顎骨が十分に育たないことが悪い歯並びにつながることを覚えておきましょう。
特に、たんぱく質や鉄が不足しやすいのでバランスの取れた食生活を心がけてください。

2.歯の生え代わりと永久歯列の完成

最初の永久歯が生えてくるのが6歳あたりです。下顎の第一大臼歯と下顎の中切歯が
最初に生えてきます。親知らずを除く全ての永久歯が生えそろうのが12歳〜14歳です。
生えてきたばかりの永久歯は柔らかく、虫歯になり易いので、注意しましょう。
この時期に虫歯によって歯の形状が大きく変わると、噛み合わせ全体のバランスを崩すことになります。また、顎骨の成長変化を続けている時期に、歯科治療で詰め物や被せ物をすれば、成長過程における噛み合わせの変化に正しく追従できない事もあります。
つまり、とにかく虫歯にならないことが重要です。砂糖を多く含んだ食品を日常的に摂取することで、虫歯や、顎骨の成長阻害を起こしやすくなります。
歯並びは遺伝的要因ばかりでなく、生活習慣の在り方が深く関係します。
姿勢、呼吸、食事、歯ぎしりや食いしばりの有無等が、歯並びやかみ合わせに大きく影響します。正しい生活習慣を心がけるようにしましょう。

3.いつから?始めるタイミング

子供と歯科医院の関係を早期に築いておくと、3歳頃までには歯に対する意識をもちやすくなり、歯科医師からのアドバイスに耳を傾けやすくなります。治療の有無にかかわらず、定期健診も兼ねて歯科医師と良好な関係を築いておくと、歯に関連するトラブルを予防しやすくなります。
また、矯正治療を始めるタイミングとしては症例によっては4歳からスタートするものもあります。治療はあくまでも必要に応じて行うものなので、早ければ良いというものでもありません。
まず、定期健診を兼ねて歯科医師と良好な関係を築いておくこと、そのうえで必要なタイミングで矯正治療を開始しましょう。

4.矯正治療の注意点

矯正治療にはリスクが伴います。治療方針、治療方法によってそのリスクは変動します。
また、歯を動かした後の管理を怠ってしまうと、噛み合わせが以前より悪くなることもあるので、治療方針をよく理解し、歯科医師の指示を必ず守るようにしてください。
また、見た目ばかりを重視してしまい、かみ合わせの機能を無視するケースがありますが、これは要注意です。低価格や気軽さを宣伝にする矯正治療には注意して下さい。
良いことばかりでなく、治療に伴うリスクについてきちんと説明する矯正医を選ぶことをお勧めします。
矯正治療には様々な方法があり、それぞれには必ず利点と欠点があります。
最近ではマウスピース矯正が多くの方々に支持を得るようになりましたが、マウスピース矯正にも欠点があり、症例によってはワイヤーを用いた従来の矯正法が適している場合もあります。また、顎顔面の成長期を伴う時期の矯正と、すでに成長が終了した後の矯正では治療方針や治療結果が異なる場合も少なくありません。
さらに、矯正を行う前に装着されている詰め物や被せ物は、矯正前の歯並び、噛み合わせに合わせて製作されているので、矯正後の噛み合わせに調和するとは限りません。
つまり必要に応じて詰めものや被せ物を交換することが望ましいのです。
矯正を専門に行う歯科医師の多くは、矯正以外の問題については言及することがあまりなく、矯正治療後の口腔内が中途半端なままで終わることもあります。
矯正治療だけで全てが完結するとは限らないので、かかりつけの歯科医師に必ず確認してもらうようにしましょう。矯正治療とは、あくまでも歯科治療の一部に過ぎないものであり、口腔内全体の問題を包括して考え、対応してくれる歯科医師との連携が大切です。
もちろん、そこまで考えて、対応できる矯正専門医もいますから、矯正医選びは慎重に行うことをお勧めします。

5.矯正医の選び方

歯科医師の数だけ治療方針があると言っても過言ではありません。
歯科医師によって考え方が異なることはよくあることです。
出身大学、診療地域、所属している学会等によって意見が分かれることはよくあります。
矯正医のほとんどは、矯正を専門に行っており、矯正以外の治療を行うことはありません。
また、一般歯科医も自らが矯正治療を行うことはほとんどなく、一般歯科医と矯正医は棲み分けているのがこれまでの傾向です。
ただし、近年、矯正医であっても、矯正以外の治療を行ったり、一般歯科医であっても矯正治療を行う歯科医師が増えてきています。では、どのようにして選べば良いのか?

矯正は専門分野として範囲が広いということと、矯正の臨床経験を積むには時間がかかることから、矯正専門の矯正医を選ぶのが無難です。ただし、矯正専門ゆえに矯正学以外の分野に関しては、知識と経験が乏しいという傾向も否めません。
つまり、患者さんの問題が歯並びやかみ合わせの改善のみに限局されるのであれば、矯正専門のクリニックを選ぶことをお勧めします。これに対して、歯並び以外にも問題がある場合、例として、虫歯、歯周病、歯の欠損、顎関節症などを患っている場合は、矯正以外の治療が必要となるため、他の専門医や一般歯科医との連携が必要です。
そもそも、歯科治療は、総合的に取り組むべきであり、治療方針に基づいて、各分野に対して一貫した治療を行うことが必要です。
例えば、歯並びだけと改善しても、虫歯や歯周病も問題を解決しなければ意味がなく、根管治療やインプラント治療に長けていたとしても、噛み合わせの問題を残したままにすれば他の疾患を生み出すことになります。
矯正治療する前にまず現在の状態を「総合的」に判断し、他に問題が無いかどうかをきちんと把握したうえで、歯科医師を選ぶことが理想的です。
矯正以外にとくに自覚が無いのであれば、矯正医を最初に選び、矯正以外に問題が無いかどうかを確認し、必要に応じて一般歯科医との連携や、矯正以外の治療を担当の矯正医に任せるのが良いでしょう。

矯正以外にも問題があると自覚する場合は、まず一般歯科医に総合的に判断してもらい、必要に応じて矯正医との連携や、矯正まで含めた治療を一般歯科医に依頼すれば良いでしょう。

特に、治療方針で気を付けていただきたいのは、矯正のための抜歯判定、治療期間の短縮化(スピード矯正)、矯正のために歯を一部削ること、などについては、矯正医によって方針が大きく異なることがあるので、治療方針に納得いかない場合は、セカンドオピニオンとして必ず他の矯正医の方針も確認することをお勧めします。
さらに、マウスピース矯正にはいろいろなシステムがあり、システム次第で治療方針が異なることもあります。マウスピース矯正で全ての矯正ができるという歯科医師もいますが、どんな矯正法にも必ず利点と欠点があり、一つの方法に固執せず、柔軟に考えることが大切です。
また、説明がわかりやすく、質問に丁寧に答え、リスクについてもきちんと説明してくれる歯科医師を選択することをお勧めします。

6.歯並びを悪くする原因

歯並びは、日常の生活習慣の影響を大きく受けます。特に幼少期は、食事や生活習慣の在り方が歯や顎骨の成長に大きく影響するので注意しなければなりません。悪い姿勢(猫背、ストレートネックなど)、偏った食事、悪習癖(指しゃぶりや頬杖など)、口呼吸、舌癖、虫歯、歯周病などが悪いかみ合わせや悪い歯並びにつながります。
特に幼少期は、食事と姿勢、悪習癖に注意してください。
遺伝ももちろん関係しますが、まずは日常の生活の在り方をまず見直すようにしましょう。
また、矯正治療を行っても日常の習慣を改善しなければ、矯正治療が上手くいかない場合もあります。矯正を始める前に、日常生活に関わる原因を明らかにし、改善することが大切です。

7.抜歯か非抜歯か?

非抜歯にこだわる歯科医師や患者さんがいますが、医学的見地からすれば、歯を抜くことが必ずしも悪いことではありません。
各症例によって抜歯の是非は異なります。
抜かない代わりに歯を削る、歯列を広げるということは常套手段ですが、それも度を超えて行われるならば、むしろ抜歯する方が賢明な場合もあります。
とはいえ、安易に抜歯をすることで、歯列が小さくなってしまい、舌の収まるスペースが小さくなることで呼吸を妨げてしまうこともあります。
つまり、歯並びばかりに注目すると、噛み合わせや呼吸に悪い影響を与えることになり、
総合的な成果が得られないことになります。
抜歯の是非にこだわることは大切ですが、こだわりすぎることは禁物です。
あくまでも総合的に判断したうえで適切な方法を選択するようにしてください。

モウリデンタルクリニックでは矯正のご相談も受け付けております。
当院での矯正治療をご検討される方は矯正治療についてのページをご覧ください。
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記事の著者:モウリデンタルクリニック 院長 毛利 啓銘

モウリデンタルクリニックは患者様の数十年後の健康を見据えた、総合的で一貫性のある歯科医療を提供するクリニックです。
特徴として、医学、科学に基づくだけでなく、患者本位に沿った総合的歯科医療を提案、実践しています。これは予知性を持った、合理的かつリスクの低い歯科医療です。
患者様には、問題の原因、歯科医療の本質について分かりやすく説明し、各予防法、各治療法について適切に選択して頂く事を大切にしています。

経歴/所属学会

■東京歯科大学卒業
https://www.tdc.ac.jp/
■日本口腔インプラント学会所属
https://www.shika-implant.org/
■ドイツ Ankylos Implant認定医
https://www.dentsplysirona.com/ja-jp/explore/implantology/ankylos.html
■ドイツ XiVE Implant認定医
https://www.dentsplysirona.com/ja-jp/explore/implantology/xive.html

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