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子供を歯医者に通わせる前にお母さん(お父さん)が知っておくべきこと

東京都渋谷区広尾にある歯医者『モウリデンタルクリニック』院長の毛利です。

今回のテーマは「子供を歯医者に通わせる前に知っておくべきこと」について解説していきます。
お子さんが将来虫歯にならないために『子供の歯や虫歯について』知っておくことはとても大事です。ぜひお父さんお母さんには見て頂きたい記事となります。

目次

  1. 子供の虫歯は親が作る。
  2. 歯磨きだけでは予防にならない
  3. 歯が悪くなるシナリオは皆同じ。
  4. 歯は治療するものではない
  5. 歯科医師との関係
  6. 本当の予防
  7. それでも治療するなら(治療の役割)
  8. 保護者の方へ ~未来のために~

1.子供の虫歯は親が作る。

生まれたばかりの赤ちゃんの口の中には虫歯菌がいません。
1歳7ヶ月頃から2歳7ヶ月頃に、お母さんや周りの人から、唾液を通して虫歯菌がうつります。
離乳食の時に大人が噛んで食べ物をあげたり、大人が使ったスプーンで物をあげたり、キスしたりして虫歯菌がお子さんにうつって行きます。
虫歯菌はほとんどの大人が持つ菌なので、虫歯菌を移さないことは不可能です。
虫歯菌をできるだけ最小限の数に留めておくこと。そして虫歯にならないためには糖の摂取をできるだけ控えることが必須です。

虫歯になるメカニズムは簡単です。虫歯菌が糖を分解し、乳酸と不溶性グルカンを産生する。この乳酸が歯を溶かして虫歯になり、不溶性グルカンは細菌が歯に定着するための役目となり、虫歯菌が増殖するための足場となります。
そして集まった細菌が集合して膜を張り、バイオフィルムを形成します。キッチンやお風呂の排水溝まわりのヌメヌメも、同じバイオフィルムです。虫歯菌がいても糖が無ければ虫歯にはなりません。
つまり、親が子供に与える食事の内容で、子供の虫歯になるかならないかがほぼ決定します。
虫歯になる子供は、虫歯になる食事(糖を多く含む食事)を親に与えられているということです。

2.歯磨きだけでは予防にならない

バイオフィルムを全て取り除けるのであれば、糖をどんなに摂取しても虫歯にはなりません。しかし実際にはすべて取り除くことはできません。
どんなに歯磨きを頑張っても、磨き残しは必ず生じます。その部分が少しずつ蓄積することで、結局は虫歯になるということです。
長期的に考えれば、歯磨きだけでは予防できないということになります。糖摂取の制限と歯磨きの両方を疎かにすれば虫歯になることは避けられません。
歯磨きをすれば大丈夫だとは考えないようにしてください。

また、ほとんどの方が歯磨きを正しく行えないという現実もあります。残念ながら多くの方々が正しいブラッシング法をしらずに、自分の感覚だけで歯磨きを行っています。虫歯の原因となる「糖」を制限することを念頭に置きましょう。

3.歯が悪くなるシナリオは皆同じ。

生涯を通じて歯を悪くするシナリオはほとんど決まっています。
まず、幼い頃から家庭や保育園、幼稚園で砂糖を含む食品を多く与えられ、少しずつ糖への依存度が高まり、日常的に糖を摂取することが習慣化します。
永久歯が生え始める6歳頃に、それまでの食習慣を改善しなければ生えたての幼若な永久歯はいとも簡単に虫歯になり、歯科治療を施したとしても、食生活の改善がなければ、再び虫歯になり、歯科治療を施す領域が増えていきます。

さらに、歯科治療により樹脂や金属を口腔内に充填、装着することでかみ合わせが少しずつ変化し、本来のかみ合わせからずれていきます。
歯科治療において、詰め物や被せ物は、治療する前の歯の形を再現しません。これにより、下顎の位置が変位しやすくなります。
虫歯が歯の中にある神経に達した場合、一般的には神経を取り除かなければなりません。
しかし、歯の神経を取り除くことで、将来歯を失う確率が上がります。
無計画に繰り返される歯の治療そのものが、さらに歯や歯周組織を破壊する原因になり、大人になっても根本的な改善をしなければ、年月を経て歯を失うことになります。
歯科医師が大人の歯を抜歯する時、その歯は過去に神経を取り除かれたものがほとんどです。自然の無垢な歯のままであれば、歯を失うリスクはほとんどありません。

まとめると、歯を悪くする主な原因は、長い年月をかけて繰り返される糖の過剰摂取と歯科治療であり、この2つを根本から見直さない限り、虫歯を始めとする各疾患にかかりやすく、
無計画な歯科治療を繰り返しながら、生涯を通じて少しずつ歯を失うことになります。
これはほとんどの日本人に当てはまるパターンです。
虫歯は3歳までの食生活の在り方で決まります。幼少期にできるだけ砂糖を避けること、
甘い食べ物や飲みものを最小限にしておくことが重要です。糖に対する依存度が高くなってしまうと、糖を制限することが困難になります。幼少のうちに糖を制限することが何より大切だということです。歯磨きをすれば大丈夫、フッ素を塗布すれば大丈夫という考えは捨てましょう。

4.歯は治療するものではない

虫歯を治療するためには歯を削り、歯とは異なる材質で詰めたり被せたりしなければなりません。その時点で、もはや虫歯になる前の歯とは異なる状態になります。
歯の硬さや性質、形にはそれぞれの機能があり、残念ながら同じ機能をもつ材質は存在しません。つまり、治療する前の歯と、治療後の歯とでは、機能を全く同じ状態にすることは不可能だということです。治療の介入度が少なければ許容できますが、介入が多くなるほど、歯の本来の性質を失うことになります。日常生活に困らない状態に戻せたとしても、将来的な歯のリスクは上がることになり、結局、多くの方が治療を繰り返すことになります。

元の状態に戻せないということは、やはり本来は治療するものではなく、予防するべきだということです。治療より予防することが合理的です。

予防のために必要なことはまず、糖依存を減らし、歯を守るための意識をきちんと持つこと。
歯科治療で解決できるとは考えないことです。歯科治療は短い期間であれば、一時的に解決したとしても、予防に比べて、長い期間でみれば良いことはありません。
多くの日本人は、当たり前のように虫歯になり、当たり前のように歯周病にかかります。
それはむしろ異常な事であり、幼少の頃から家庭内できちんと対策をすればそもそも虫歯にも歯周病にもなりません。

今から50年前、歯は治療すれば良いという時代がありました。
残念ながら全国的にその傾向は今もまだ続いています。これからの未来を担う子供たちに、
我々の時代の負の遺産を押し付けることのないようにするためには、まず正しい知識をもって、正しく予防することを心がけてください。

5.歯科医師との関係

一般的に多くの子供たちは、歯医者さんが苦手です。歯の治療を怖いと感じるのは子供にとってごく自然なことであり、子供が治療を受け入れない事はよくあります。これを解消するためには、虫歯の有無に関係なくできるだけ早い時期から歯科医院を訪れ、歯科医師との信頼関係を先に築くことが必要です。
コミュニケーションを通じて歯のクリーニングや予防指導を受けることで、これが子供と歯科医師の信頼関係につながります。早期から信頼関係をつくることができれば、子供は歯の予防に対して高い意識を持つことになり、虫歯になる確率が下がります。また、たとえ虫歯になったとしても、歯科治療に対する恐怖心や不安を最小限にすることができます。

虫歯になってから歯科医院を訪れてしまうと、恐怖心や不安が大きくなり、
なかなか治療できないケースは少なくありません。歯科医師との信頼関係が無いままの治療は、歯科医師に対して不信感を持つことになり、最悪の場合は、治療を恐れて子供が虫歯を放置することにつながります。

歯を大切にすること、そのために必要な考え方を子供が理解するには、理屈を唱えるよりも
まず、歯科医師との信頼関係を築くことが先決です。
虫歯の有無にかかわらず、定期的に歯科医院を訪れ、歯科医師とのコミュニケーションを図るようにしましょう。短い時間でも構いません。子供にとって歯科医院という場所が、
日常的で、当たり前のような存在なのだと認識させればよいのです。

6.本当の予防

まず、歯の大切さを正しく認識する事から始めましょう。
日本人は歯を軽視する傾向があります。
歯を大切にすることは、食生活をはじめとする生活習慣の改善につながります。あくまでも歯磨きは予防手段の一つにすぎません。

また、日本の小中高で学校側が口腔衛生指導を推進しない現実が、大人になっても歯磨きを昼食後に行わない傾向を生み、多くの大人たちが昼食後の歯磨きを行いません。
社会の常識が、医学の非常識につながっています。
歯磨きをいくら頑張ったところで、糖を過剰摂取すれば効果はありません。
長期的視点では歯科治療を施せば施すほど、かえって虫歯や歯周病のリスクは上がります。
数年おきに歯の治療を繰り返してしまう原因は、治療後の生活改善を行わない事と歯科治療による副作用が原因です。

フッ素を塗布しても、それだけでは虫歯予防になりません。
フッ素を塗布すれば安心という考え方はそもそもが間違いなのです。
虫歯や歯周病は、あらゆる問題が重なって生じます。
また、問題の絡み方は人それぞれ異なります。
まず、自分の生活の在り方を見直し、正しい歯磨きを行い、治療後も、歯の健康を維持するための定期健診を行い、将来に備えた日々の習慣と、計画的な歯科治療を選択してください。

7.それでも治療するなら(治療の役割)

皆それぞれに様々な事情や現実があります。
誰もが理想的な生活を送れるわけでもありません。菓子パンで一日過ごさなきゃならない
人もいますし、飴玉だけでしのがなきゃならない時もあるでしょう。
各家庭や各地域においては、まだまだ昭和の感覚で、無警戒に甘いものを日常的に
摂取する人たちがいて、経済的にどうしても砂糖を多く含む食品に頼る食生活を強いられる人たちもいます。既に糖依存の生活環境で育ってしまうと、大人になってから脱却することが困難になります。そうなればやはり歯科治療は必要となります。

歯を治療すればするほど、虫歯や歯周病のリスクが上がります。
治療後も虫歯や歯周病の原因を排除しないまま生活すると、数年おきに歯の治療を繰り返しながら少しずつ歯を失い、50歳あたりから口腔内が一気に崩壊するケースが少なくありません。40代までに、きちんとしておかないと、入れ歯やインプラントになる方が多いのです。

歯を悪くする原因をできるだけ排除する事、歯科治療で得られるのは、天然の歯よりも劣った環境です。やらないよりはマシ。そのくらいの感覚でよいと思います。
生活習慣を改善できないのなら、歯科治療の介入は最小限でよいでしょう。歯科治療のリスクを上げるくらいなら、そのまま放置して、応急処置を繰り返しながら少しずつ崩壊させていく方が賢明です。
逆に、生活改善ありきなら、計画的で論理的な治療を積極的に行うべきです。
保険治療か自費治療かは、現実と必要性に応じて選べば良いでしょう。
良い材料を用いるから良い治療ではありません。計画性と一貫性、歯科医師と患者さんの
考え方が一致することが何より大切です。

歯科治療で得られるものはあくまでも「環境」です。
歯科治療はただの準備にすぎません。「環境」を手に入れたら、それをきちんと維持、管理していく為の日常の在り方と、正しく評価して対応する歯科医師との連携が主役なのです。
つまり、治療後が本当のスタートだということです。

8.保護者の方へ ~未来のために~

子供は未来の担い手です。世界は彼らのためにある。
大人は子供のために、彼らのために世界を整えて、正して、きちんとバトンを渡す義務と責務があります。
戦後、日本は豊かになり、利便性を増し、社会は多様性を増し、多くの人たちがその恩恵を受けることになりました。
ところがその一方で、病気が増え、この国の医療費は近年、莫大に増大し続けています。
その原因は「食の在り方」にあります。
昭和の時代に虫歯が流行り、多くの国民が歯科治療を施し、今日も繰り返す歯科治療を余儀なくされています。
歯を治療すれば大丈夫だと、歯科医師も含めて皆がそう思っていました。50年たって、それが幻想だと証明されました。歯を失う人が一向に減らないからです。今も歯の治療で苦しむ人たちは少なくないのです

歯の治療は根本的な解決策ではなく、一時的な救済です。
子供たちが正しい知識をもち、正しい食習慣を持つことで、歯科治療を施されることなく、
健康的な日々を過ごせるようになるのです。歯を守れば、身体も守られるのです。
どうか、「食」を大切にしてください。むやみにお菓子を与えないでください。
お菓子で子供を幸せにしようと思わないでください。一度糖依存になれば、
そこから脱却するのは難しいのです。糖依存が重度になると、うつ病になり易くなります。
自律神経が安定しなくなり、さまざまな問題につながるのです。
もちろん、様々な背景もある事なので、ゼロにできない現実もあるでしょう。
それでも、できるだけ、甘いものに頼らなくていい食生活を心がけてください。
そして、歯科医院で歯の検診を定期的に行ってください。子供が自ら歯を大切にしたいと思えるように、その大切さをしっかり伝えてください。歯科医師はあくまでもそのお手伝いをするためにいるのです。
彼らが大人になったとき、歯の治療なんてありえないよと、皆が言える社会に
なってくれたら何より幸いです。

予防に関するご相談やご予約はお電話・WEB予約で承っております。
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記事の著者:モウリデンタルクリニック 院長 毛利 啓銘

モウリデンタルクリニックは患者様の数十年後の健康を見据えた、総合的で一貫性のある歯科医療を提供するクリニックです。
特徴として、医学、科学に基づくだけでなく、患者本位に沿った総合的歯科医療を提案、実践しています。これは予知性を持った、合理的かつリスクの低い歯科医療です。
患者様には、問題の原因、歯科医療の本質について分かりやすく説明し、各予防法、各治療法について適切に選択して頂く事を大切にしています。

経歴/所属学会

■東京歯科大学卒業
https://www.tdc.ac.jp/
■日本口腔インプラント学会所属
https://www.shika-implant.org/
■ドイツ Ankylos Implant認定医
https://www.dentsplysirona.com/ja-jp/explore/implantology/ankylos.html
■ドイツ XiVE Implant認定医
https://www.dentsplysirona.com/ja-jp/explore/implantology/xive.html

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