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10代男性「学校の部活で顔面を強打し、歯が折れてしまった」 外傷により破折した歯をオールセラミックで治療した症例

年齢と性別 10代男性
ご相談内容 「学校の部活で顔面を強打し、歯を破折(割れたり、折れたり、ひび割れたりすること)した。近所の歯科医院で応急処置として、破折部分を合着材で元の位置に戻す処置を受けたが、このままでは不安なので、根本的に治療をしたい」とのご希望でご来院されました。
カウンセリング・診断結果 診察したところ、神経に生活反応が認められ、前医の迅速な対応により、歯髄(神経)が保存された可能性が高い状態でした。
そのため、歯髄保護(神経を保存する)を優先し、破折部を一部残して歯冠(歯の上部)修復治療を行う必要があると診断しました。
行ったご提案・治療内容 歯髄(神経)保護を最優先し、着け直した歯冠の一部はそのままに、仮歯を作製しました。もし後日に歯髄壊死を認めた場合には、早急に根管治療を行い、症状の消失を確認してから歯冠修復となる旨をお伝えしました。幸い、今回は歯髄の保存ができたので、仮歯を用いて周囲歯肉の安定と、日常生活での経過確認が直ちに行えました。

歯冠修復方法として、CR(コンポジットレジンとも呼ばれる歯科用プラスチック)、ラミネートべニア(歯の表面を薄く削り、付け爪のような薄いセラミックを歯の表面にくっつける治療法)、クラウン(歯の外周全てを覆う被せもの)のそれぞれの利点と欠点をご説明しました。

今回は破折範囲が広く、CRやラミネートべニアでは、強度不足で再破折する可能性が高かったため、強度・耐久性・審美性をすべて兼ね備えた治療はオールセラミックを用いた治療であることをご説明しました。患者様は審美回復を強くご希望され、オールセラミッククラウンによる歯冠修復を行いました。

治療期間 2か⽉
費用 17万円
術後の経過・現在の様子 術後から7年経過しましたが、現在も発音、咀嚼に問題はなく、経過は良好です。
治療のリスク 今回のような症例では、歯髄(神経)保護を最優先に考えることが重要です。
できるだけ歯を削りたくないという方や、とにかく歯を削らない治療を最優先する方もいらっしゃいますが、削らないことがかえってリスクになるケースもあります。
CRやラミネートべニアでの中途半端な治療で再び破折した場合、次は歯髄を取り除かなければならない状況になると思われます。破折範囲にもよりますが、今回のように破折範囲が広い場合は、歯に加わる力にしっかりと対抗できる形態を付与することが大切です。また、治療を急いで、クラウンを被せた後に症状が出るケースもあります。
     
神経の状態が本当に問題ないかどうか、1か月程度は観察することも重要です。痛みの有無だけで判断するのではなく、歯髄の生活反応を確認しながら経過観察する期間を設けることが理想です。今回は仮歯を用いて、1か月程様子を見てから、オールセラミッククラウンの作製を開始しました。 

また、セラミッククラウンのリスクとして、自然な咬耗(歯のすり減り)が期待できないため、定期的に噛み合わせの変化の確認と、必要に応じた調整が必要であることを患者様にお伝えしました。

治療前

治療後