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30代⼥性「⻭が動揺している、前⻭を綺麗にしたい」 部分矯正を併⽤した前⻭の審美改善

年齢と性別 30代⼥性
ご相談内容 「左上の2番が指で触れると動揺している」「前⻭をもっと綺麗にしたい」とご相談いただきました。
カウンセリング・診断結果 診察したところ、左上2番の⻭根⽔平破折(⻭根が地⾯と平⾏に折れてしまっている状態)でした。
また、既に装着されていたクラウン(被せもの)と充填されていたCR(詰め物)の劣化・着⾊が認められました。
行ったご提案・治療内容 左上2番の⻭根破折の位置が深いため、そのままではたとえクラウンを装着しても脱離してしまう可能性が⾼い状態でした。そのため、まずはクラウンの製作前に部分矯正で⻭根を引き上げる必要があることを説明しました。
矯正による挺出期間(移動期間)は3か⽉、その後にCRの再充填、左上1番、2番の仮⻭を作製しました。
数⽇を経て形態の確認と、周囲⻭⾁との調和を図り、患者様の承諾後に最終補綴物(オールセラミッククラウン)を作製しました。
治療期間 4か⽉
費用 500,000円(税別)
術後の経過・現在の様子 術後5年以上経った現在、⻭の動揺はなく、咀嚼(噛むこと)や発⾳も問題ありません。周囲⻭⾁の状態も良く、経過は良好です。将来ホワイトニングを⾏う可能性があるので、患者様の希望で、周囲の⻭より⾊を少しだけ⽩く設定しました。
治療のリスク ・⻭根の引き上げを⾏っても、⽇常の⻭にかかる⼒が⼤きいと、必ずしも成功するとは限りません。
・⻭を引き上げることでクラウン脱離のリスクは下がりますが、⻭根の⻑さは変化しないため、⼀般的な⽅法に⽐べて脱離やさらなる⻭根の破折を招くリスクがあります。
・今回は単独で装着しましたが、隣の⻭と連結しなければならないケースもあります。(連結することで起きるリスクもあります)
・前⻭の審美改善で気を付けることは、⾒た⽬の問題を優先するあまり、各個⼈の持つ下顎の運動路を無視し、前⻭に過剰な負担を与えてしまったり、しいては顎関節の運動抑制を⽣じたりしていないかを⾒極めることです。これを怠ると、咀嚼障害、顎関節の痛みにつながります。まず、仮⻭を⽤いて⻭の形態をしっかり吟味し、⽇常に問題がないかどうかをきちんと確認する期間を設けることが重要です。

治療前

治療後

前⻭は奥⻭と密接な関係にあります。奥⻭の状態が悪いまま、前⻭の形態に関わる治療を⾏ってしまうと、さらに次のトラブルを招くことになります。また、噛み合わせの各タイプ、各個⼈の⻭ぎしり、⾷いしばりなどの悪習癖の有無、⾷後のブラッシングの内容と回数などによって、治療後の様々なリスクが変動します。
矯正期間中に⽣活習慣を基軸に⼝腔内全体の問題を抽出し、改善できることは先に改善しておくことで、最終補綴物(セラミック)の⻑期安定を期待できるようになります。⾒た⽬はだいぶ改善されましたが、左上2番は⻭根が短く、単独処置となっているため、⼀般的な⽅法よりもハンディがあります。そのため、術後の予防管理と定期健診はきちんと⾏う必要があります。

治療中

隣の⻭に最⼩限の加⼯を施し、⻭を引き上げるためのゴムを設定しました。
⻭の移動に合わせて、このゴムを定期的に交換します。
このままでは審美的に良くないため、⻭の動きを妨げないように表側のみの仮⻭を接着しました。
裏側からは⾷べ物がたまりやすいため、まめなブラッシングと、間⾷の回数をできるだけ最⼩限にするようご説明しました。