マイクロスコープ行進曲

?

 

 

 

 

 

根管治療を保険外で行うことを知ったのは、

今から6年前。 マイクロスコープを用いて行い、

切削小器具は全て新品を使用する。

1時間~2時間の治療時間をかけて、

治療回数を最小限で行う。

ということであるが、当時の僕にはピンとこない。

?全国的にみて、

根管治療を丁寧に行う歯科医師はほとんどいない。

 

というか,保険制度上、

一人のあたりの治療時間が15分前後では、

まともな根管治療はできない。

物理的に不可能である。

だから、丁寧で良質な治療を行うためには、

30分以上かけて丁寧に 治療することがほとんどであり、

場合によっては一時間かけることもしばしばあった。

根管治療を丁寧にできなくして、

20年、30年先を見据えた歯科治療はできないからだ。

保険治療の範囲で根管治療を行うと、

ほとんどただ働きに近いものがある。

それでも、歯科医師としてのモラルが叫ぶ。

そういう問題じゃないだろ。

と。 2年前、同級生の診療室に行ったとき、

彼は僕にマイクロスコープの必要性を説いた。

その時、ぼくはピンとこなかった。

マイクロスコープがなくても

成果を出している歯科医師を知っているからだ。

マイクロスコープのない診療でも、

根管治療の予後が良いものがほとんどであり、

僕自身、時間をかければちゃんとできるものだと 確信していたのだ。

 

マイクロは、絶対ではないと思っていた。

あれから2年後、

試しにマイクロスコープを診療室に3週間置いてみた。

結果どうなったか? マイクロスコープのない診療はありえないと確信させられた。

 

もちろん 今までの診療でも十分対応できるケースはあるだろう。

しかしどんなに丁寧に時間をかけても、

見えない状態では、 ハンディが大きすぎる。

 

マイクロスコープを使わない根管治療は、

暗闇で料理をすることに等しい。

どんなに 時間をかけても どんなに丁寧に行っても、

見えないものに手探りで対処したところで たかが知れている。

 

認めたくないが、 マイクロスコープを使わない感染根管治療は、

もはや茶番である。

数年後に患部が再発しても、

そりゃそうだと言わざるを得ない。

感染根管処置の成功率は、

おおよそ70%~80%と言われている、

マイクロがなくとも、

ちゃんとやれば成功すると言われている。

 

たしかにそうかもしれない。

しかしそれは一つの見解である。

事実はこうだ。

一根管を、30分以上かけて丁寧に治療した後に、

もう大丈夫だと思い、マイクロで覗いてみた。

 

結果は?

 

切削片や感染資質が所々に残っていた。

 

これが事実である。

マイクロスコープのない根管治療は 時計の修理を裸眼で行うに等しい。

 

?国内のマイクロスコープの普及率は3%以下と言われている。

もし、その歯を一生使いたいと思うのなら、

マイクロスコープのない根管治療は危険である。

 

保険治療であっても、

根管治療のほとんどはちゃんと対応できるという意見に 異論はない。

しかしおそらくそれは一つの見解だ。

 

繰り返される根管治療において、

もしかしたら保険治療は無力かもしれない。

 

いずれにせよ、

僕はまた一つ事実を知ることになった。

根管治療は、

マイクロスコープなしでは成功率が下がる。

 

マイクロスコープの普及を、

 

心から願うばかりである。