マイクロスコープを利用した精密根管治療
こちらのページでは、マイクロスコープを使用した精密根管治療についてご説明致します。
マイクロスコープを用いた治療歯、医科の分野では、その歴史は古く1920年代から使用され始め、1950年代には、耳鼻咽喉科、1960年代には、眼科、脳神経外科、血管外科等の分野で使用されてきましたが、歯科の分野では、非常に歴史は浅く1990年代に入ってから主に根管治療において用いられるようになりました。
現在でも、全国の歯科医院でマイクロスコープが設置されている医院は、2~3%というのが現状です。
根管治療を成功させるために
根管治療を成功させるための大切なポイントは2つあります。
1、歯科医師が病態についてきちんと把握している
2、根管治療を、適切な環境下で行う
歯科医師が病態をきちんと理解するためには、問診、視診、触診、レントゲン診断などがありますが、マイクロスコープは視診においてその力を発揮します。
根管内はとても狭く暗いので、肉眼で覗くには限界があります。
歯科医師は、手の感覚やレントゲン写真を頼りに治療を行うしかなく、
肉眼では直接見えない状況で治療を行うことが、これまでの一般的な根管治療です。
見えない状況で治療を施すとなると、歯科医師の技術や症例によって、治療の確実性が
大きく左右されることになります。
それゆえ、本来助かるはずの歯が「抜歯」と判定されてしまうことも少なくありません。
マイクロスコープを用いることによって、根管内を直接拡大して見ることができるので、
根管内がどういう状況なのか?について、歯科医師が理解しやすくなり、
病態をきちんと把握することにつながります。
また、根管治療を進める途中で、様々な確認が可能になるため、
治療そのものが安全かつ確実に行い易くなります。
これはつまり、根管治療を適切な環境下で行うことになります。
マイクロスコープを使用することで、歯科医師の“勘”や“経験”だけに頼ってきた治療ではなく、これまで不可能だった高度なレベルの治療を行うことができるようになるのです。
当院の精密根管治療
当院のマイクロスコープには、カメラを設置しており、根管内の画像及び動画を見せることができます。
治療前、治療後の根管内を患者さんに見ていただくことで、歯科医師と患者さんが情報を共有できるようになり、お互いが共通の認識のもとに治療を進めることができるようになります。
全ての根管治療において、マイクロスコープを用いることが理想的ですが、
2つの注意点があります。
1、一回当たりの治療時間が長くなる(30~90分)
拡大することで、細部まで見えてしまうわけですから、治療が精密で丁寧になる代わりに、
治療時間が長くなってしまいます。 一回当たりの治療時間は60分~90分を目安にしてください。ただし、長い間口を開けていられない方の場合は途中で休憩を入れながら行うことも可能です。また、一回当たりの治療時間は長くなりますが、集中して治療を行うため、治療回数は一般的な根管治療よりも少なくなります。
2、保険診療では行うことができない。
保険診療(一般診療)とは、国が定めたルールに基づいて行われる診療です。そもそも、医学がこれだけ進歩したにも関わらず、保険診療の概念は30年前からほとんど変わっていません。歯を予防したり、できるだけ歯を残すための制度というよりは、痛みや症状を取り除くことを主軸に設定されています。
歯科医療費に使われる国の予算も20年前から全く変わっていません。つまり、保険診療は今から何十年も前の考え方に基づいて設定されていると考えられます。ちなみに、「ラバーダム」という、根管治療を成功させるための器具があるのですが、ラバーダムを用いた場合と用いない場合では、治療の成功率が大きく変わるという統計もあります。にもかかわらず、保険診療ではすでにこのラバーダムを保険算定枠から外してしまいました。
アメリカではこの器具を使う事が当たり前だとされていますが、日本ではそういう歯科医は非常に少ないのが現状であり、保険制度の兼ね合いがあり複雑な状況になってしまっているのです。(保険診療と自由診療について)マイクロスコープを用いた精密根管治療は、用いる器具や材料だけでなく、治療工程の規格そのものが保険診療と異なるので、自由診療となります。多くの方にとって保険診療はひとつの基準となっていますが、このような背景を理解して頂いたうえで、あなたにとって正しい選択をされてください。