許されざる者

 

 

 

 

 

噛み合わせを考えて精密に治療する必要があるのか?

一日の中で、上下の歯がかみ合う時間は15分~20分である。

下顎安静時は歯が接触しないのだから、咬合を厳密に考える必要はない。

という歯科医師がいる。

ひとつあなたは忘れている ブラキシズムの存在を。

就寝時の歯ぎしりやくいしばりは、

起きているときとは比べ物にならないほどに強く行う。

筋紡錘による筋肉の制御システムは行われない。

就寝時の歯ぎしりやくいしばりは不随意運動である。

つまり、噛み合わせが良かろうと悪かろうと、ガ

ンガン歯ぎしりする。

この時、歯や歯周組織はされるがままである。

すごい力で噛めば、歯や歯周組織はそれを受けるしかない。

その結果どうなるか?

わかるでしょ? ?これでもかみ合わせを無視できるであろうか?

この事実に対して、

歯科界はいまだに沈黙を貫いている。

あるいは軽視している。 見て見ぬふりをしている。

公にスピークしようとはしない。

ばれたら困る歯科医師が多すぎるからかもしれない。

実際、今までの治療が否定されてしまうところがあるからだ。

歯ぎしりの頻度と強さには個人差があり、

その個人の年齢や生活環境によって変動する。

する人もいればしない人もいる する時期もあればしない時期もある

しても大丈夫な人がいれば すればするほど歯や歯周組織、

さらには顎関節に影響がでる人もいる。

ここの分別は難しい。

分別するために数年かかることもある。

今、していなくても将来するかもしれない。

だから、将来に備えた治療方針が必要になる。

問題が起きた場合。発見が遅れた場合、

事は重大になる。 歯ぎしりやくいしばりの問題を、

虫歯や歯周病と同じように大切に扱う歯科医師は本当に少ない。

歯科界は今、咬合論を棚上げにしている。

議論すらしていない。

ナソロジーで痛い目にあったから?

でもそれはナソロジーのせいではない。

議論をやめた歯科医師の、

理解力と想像力の不足によるものと解釈している。

 

一部のアメリカ人歯科医師は咬合論を棚上げにした。

多くの日本人歯科医師はろくに考えず同調した。

咬合に対する、歯科医師のある程度の同一見解があれば、

多くの患者が救われるというのに。

考えを前進させるどころか、

理解しようとさえしない輩が多い。

歯科技術や、歯科材料が進化しても、

歯科医師の頭の中は進化していない。

中島栄一郎先生が嘆いていた。

「日本の歯科医療はいつまでも考え方を改めようとしない。

歯のことばかり考えている。

口の機能や全身との関連に目を向けようとしない」

 

全く同感である。

40年前の歯科治療と現在の歯科地治療の根本はほとんど変わっていない。

中島先生は、日本でも数少ない物事の本質に目を向ける歯科医師である。

神奈川歯科大学学長の佐藤貞夫先生も同じくである。

本質を見ようとする歯科医師は、天然記念物並みに数が少ない。

歯科医師にはいろいろな意見があっていい 。

症例によって正しさは異なる いろいろな試行錯誤があるのもあたり前だ。

ただ、変えてはいけない概念がある。

その概念が日本の歯科医療にはほとんど存在しない。

優秀な歯科医師だけが持つ共通の概念である。

彼らに学ぶべきだ。

かみ合わせやブラキシズムについて知らない歯科医師のせいで、

今日も疾患の種が、治療と称して患者の口の中にばらまかれている。

?歯科医師の手によって。

自作自演の治療を、得意気に講演する歯科医師を見ると哀しくなる。

 

それやる前にやることたくさんあるでしょ??

多くの歯科医師たちへ言っておきたいことがある。

得意そうにインプラントを語る前に、

今日までの多くの歯科治療が何をなおざりにしてきたのかくらい、

わかっておいて欲しい。

そろそろやり直し治療の連鎖をやめませんか?

インプラントはそれからです。