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2017年10月11日 | 根管治療の重大な問題とこれからの課題。

  • Before

    症例-Before
  • After

    症例-After
  • 根管治療は、歯科治療においてとても頻度の高い治療である。

    齲蝕が歯の中にある神経に達してしまうと、神経ごと取り除き、

    取り除いた後の根管内を洗浄し、薬やゴムを詰める。

    といえば簡単だが、実はとても難しい。 まず、神経の走行が人それぞれ微妙に異なる。

    また、歯の種類によっても異なるので、一筋縄ではいかないのが根管治療の特徴である。

    さらに、一般的な治療方法では再び感染し、数カ月から数年後に再治療となるケースが少なくない。

     

    写真は、10年以上前に治療した歯の中で感染が起こり、歯根周囲の骨破壊を認めたので、

    再治療することになった症例である。患者自身も、時々痛みを感じるようになっていた。

     

    痛みを感じることで、発見が早く、すぐに対処できたが、

    多くの場合痛みを感じないままに発見が遅れてしまい、治療が困難になるケースも珍しくない。

     

    いずれにせよ、神経を取り除いた歯については、別の次元で予防管理する必要がある。

    定期的にレントゲン撮影し、歯根周囲に問題がないかどうかを確認することが望ましい。

     

    神経を取り除いた歯の生存率は、取り除いていない歯に比べて低いのである。

    歯科医師が歯を抜くとき、その対象となる歯のほとんどが、神経を取り除いた歯ばかりである。

     

    根管治療をできるだけ避けること。 これが歯を失わないための最重要事項なのだ。

     

    齲蝕はできるだけ小さいうちに取り除いておくこと、

    齲蝕にならないように糖質をできるだけ控えること、

    歯磨きをきちんと行うこと、自分に合った予防方法を知ること、

    歯科医師や衛生士を、予防のためのパートナーとすること。

     

    この患者さんは、定期検診を欠かさず行っている。

    そのため、問題が大きくなる前に、速やかに対処できるのだ。

     

    マイクロスコープにて根管内を確認し、然るべき処置を施すことで、

    3か月後に歯根周囲の骨を再生することに成功した。

     

    もちろん、これで安心というわけではない。

    今後も注意深く、経過を追う必要がある。

     

    歯科治療そのものが次の疾患を生む。

    負の連鎖を止めるためには、

    論理的かつ計画に、適切な治療と予防管理が必要である。

     

    根管治療をおろそかにすれば、その歯の生存率は著しく下がる。

    歯を失う可能性が高くなる。

     

    残念ながら、日本人は歯を大切にする文化や習慣が乏しい。

    昼食後の歯磨きを実践している小学校、中学校、高校は皆無に等しい。

    歯が痛くなったら歯科医院に行けばいいという考え方がそもそも間違っている。

    人間だから、なにもかも論理的に行動することは難しいが、

    それにしても、日本人の歯に対する感覚は、もはや時代遅れなのだ。

     

    歯に対するプライオリティーが低いがゆえに、歯の治療に対しても同じくして、

    どこか呑気なところがある。 歯科医師も患者も、もう少し厳しい視点でこの問題について考えてほしいものだ。

     

    患者自身が、歯に対して厳しい視点で考えることで、

    歯科医師側も、さらに厳しい視点で考えるだろう。

    日本の製品が諸外国に比べて、故障が少ないのは、

    それを強く求める消費者がいたからではないだろうか?

     

    根管治療の現実は、日本の歯科療の現実に似ている。