矯正セミナーin 台湾

 

一年間年間お世話になった中島栄一郎先生主催の 矯正セミナー卒業旅行!!

 

台湾にある台北医科大学の、 歯学部特別講演に参加してきました!!

 

手厚い歓迎はもちろんのこと、

何より感動したのは台北医科大学の 大学院生のレベルの高さであった。

 

まず最初に、中島栄一郎先生の講演から始まり、

台北医科大学矯正科の大学院生による症例発表の後、

伊藤学而先生による発表者への質疑応答という形式で 講演は全て英語で行われた。

 

?4時間にわたる長い講演であった。

 

日本の歯科大学も英語で行うべきだと痛感した。

日本は教育における教科書のほとんどが日本語である。

ヨーロッパでは諸外国の教科書を用いるために、

教科書を通じて母国語以外の言語を学ぶらしい。

台湾も同じくとのこと、 学生は英語で講演することなど朝飯前なのだ。

 

という事は中国も同じであろう。

 

 

 

 

 

最近の学生についてはそれほど知らないが、

大学に残っている後輩から聞いた話では、

年々学生の質は落ちているという報告を 受けている。

 

それが本当かどうかわからないし、

優秀な学生がいないはずもないだろうが、 なんとなく言わんとしていることはわかる。

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日本の学生はたぶん、

外国に比べてハングリーじゃない。

環境が整っている分だけ、

ハングリーでいる必要がないのだ。

だからといって今の日本の学生が劣っているわけではない。

 

ただし、これからは違う。

近い将来、

日本の学生は世界標準で物事を考えなければならない状況になるだろう。

 

あと20年もすれば、

世界の常識はまるで変ってしまう。

 

いつだっておおよその若者は年配者から軽視される傾向があり、

それは人間社会における一つの儀式のようなものだともいえる。

 

若者はある意味で、

年配者を倒して前に進むしかないのだ 。

台湾の大学院生の症例に対する取り組み方は、

本当にすばらしいものであった。

 

まず、スライドが美しい。

 

そして、問題に対して丁寧に取り組んでいる。

 

大胆さと繊細さを兼ね備えている。

 

芯の強さが垣間見える。

中島先生も伊藤先生も、

大学院生のレベルには驚嘆していた。

 

移動中のタクシーの中で、

二人は、終始台湾の学生の質の高さについて語っていた。

まったく同感である。

台湾の歯科技術は、

日本に比べてまだまだであろうとタカをくくっていたが、

そうではないという事がはっきりした。

 

中島先生、伊藤先生は日本でも屈指の矯正医である。

歯を動かす技術においては今更疑いようがない。

しかし、お二人とも今、伝えたいことは技術に非ず。

 

とかく若いドクターたちは、 治療技術の習得に躍起になりがちである。

 

中島先生曰く、

「その治療の目的先はどこにあるのか?今、目の前にある問題はどこからやってきたのか? これを明確にしない限り、どんなに優れた技術を持っていても、 その治療は目的を果たさないであろうし、途中で迷子になるでしょう。」

 

まさに、である。

 

何十年と臨床を重ねてきた先生が今感じることはそこなのだ。

レントゲンを診て、

計測をするだけでは本当の診断とは言えない。

 

これは矯正治療に限ったことではない。

 

昨今流行りのインプラントも同じであり、

歯科治療全てにおいて通じることである。

悪い噛みわせ、失われた歯、多数の虫歯、治癒しない歯周炎。

これらには必ず原因があり、その行く末もおのずと決まっている。

 

しかし、歯科医が適切に介入することで、

行き先を良い方向に導くことが可能になる。

 

我々の仕事とは、患者さんの未来の一部を、

適切に導くことではないだろうか? それはどこから来て、

どこに向かうのか?

 

理念や哲学はこれを奮い起こしてくれるのだ。

治療とは、我々の仕事のほんの一部に過ぎない。

無論、治療技術に長けていることが望ましい。

 

治療技術が疎かでは、問題を解決することは到底できないだろう。

 

しかし、その技術をいかに用いるのか? あらゆる講演やセミナーを受けてきたが、

 

そういった理念や哲学について触れる講師は本当に少ない。

皆、何かを恐れて喋らない。

 

受け継がれた歯科界のウソ伝説を、

そのまま鵜呑みにする輩が少なくないのである。

 

歯科医のほとんどは、

学生時代に習った基礎医学のほとんどを忘れてしまっている。

 

炎症の作用機序をすらすらと言える歯科医師は皆無に等しい。

 

それなのに、誰かが言ったことを、

ろくに考えもせずに受け入れてしまう節がある。

 

その噂が独り歩きする。

 

入れ歯とインプラントはどっちが優れているのか?

なんてばかばかしい議題を、 歯科医同士で議論することもある。

 

 

車と電車のどちらが優れているのか? というアホな議題と同じである。

 

肩書きだらけの歯科医が歯科医に向けて講義をするのは大変結構であるが、

 

そこに理念も哲学もなければ、意味をなさない。

 

今、アジア全体が急速に成長している中、

日本の立ち位置が危ぶまれている。

いつの日か諸外国も、 あらゆる点で日本を追い越す日がやってくるだろう。

 

今の日本が守らなければならないのは、

これまで培ってきた医療技術を支える理念である。

 

理念なき行動は滑稽であり、行動無き理念は陳腐である

 

目先の解決ばかりに気をとられてしまう事で、

多くのものを失う日が来ないことを祈るとしよう。

 

応急処置や、対症療法の連続が、

いずれ、ほとんどの歯を失う日を迎えることが想像に難しくないように、

 

僕らの人生もまた、同じことが言えるだろう。

 

中島先生も、伊藤先生も、

歯科界においては重鎮であり、

開拓者である。

 

彼らが今、考えていることを若い僕らが継承しなければならない。

 

そこにあるのは未来を担う若者の責任であり、

 

それを担う時期に来ている。

 

医療という言葉を、

今一度改めて考えなければならないのだと、

つくづく思い知らされる旅であった。

 

中島先生、伊藤先生、台北医科大学の皆様、本当にありがとうございました。

 

またお会いできる日を楽しみにしております。

 

PS お昼ご飯のお弁当(髭おじさん)、

 

おいしすぎて2つ食べちゃいました。

おかげで、夜は何も食べれませんでした。(笑)

 

 

 故郷の大学で講演に参加できたことを心より感謝申し上げます。