想像から創造への果てない旅路

20XX年 携帯電話はその人自身のIDとなり、

個人情報は全てその中に収められる。

免許証や保険証、パスポートなどは電子化され、

指紋や声紋、血管の走行などで 個人を認証する。

身分証(免許証など)は携帯する必要がなくなり、

カメラに向かって一言しゃべるだけで 本人確認はできてしまう。

生活や仕事に必要なオーダーは、 全て携帯電話から行うことで、

各個人の趣向や、将来にわたって 必要なデータベースが、

検索→比較→選択→実行→検証 の繰り返しによって、

データ管理会社ごとに作成されていく。

 

このデータベースを元に、 様々なビジネスが生まれ、

マーケティングの対象は 集団だけでなく、

各個人に深く 関わることになる。

的確に判断されれば、

営業は土下座しなくてすむようになる。

顧客の欲しがるものを 顧客より先に知ることができるからだ。

 

セントラルスーパーコンピューターは、

データ化された全ての情報をもとに

各個人の人生のアドバイスや管理を 行うことが可能になる。

人々は自分の行動、思考、成長、変化を数値化し、

毎日入力することで、コンピューターが 下す判断の精度を上げる。

 

コンピューターは どんどん学習し、カスタマイズされていく。

迷いや孤独に押しつぶされそうになれば、

画面に向かって 人生相談をする。

答えは極めてロジック。

そしてコンピューターも最後にはこう伝える

 

アキラメナイデガンバレ

 

試行錯誤を繰り返しながら、

人間のある部分においては、

そのデータが貴重な存在になり、

合コンやお見合いは そのデータをもとに 相性が決まる。

自分(女)としてはいやだけど、

コンピューターがそういうなら つきあってみるか。

なんて、ことで 野獣(男)たちはデータ改ざんに全力を注ぐ。

 

セキュリティーで守られているデータの 改ざんのために、

ハッカーは大儲けし、 改ざん用のソフトが裏で出回る。

このため、データの信憑性が疑われることで、

データ管理会社はよりセキュリティーを強め、

ブランド化し、入会審査が設けることになる。

 

入会の厳しい会員制携帯電話会社の誕生だ。

各個人が欲しがる情報は、

リクエストによって 毎日デリバリーされ、

その情報が各個人にとって有効であればあるほど、

依存症になる。

 

自らの欲しい情報に対する労力や、

コミュニケーションを通じてやっと得られる情報は 少なくなることで、

人々の思考は退化し、 その代わりに、

答えの信憑性ばかりに意識が行くようになる。

 

 

情報や答えを自ら捻出することが不得意となり、

情報を作る側と、受け取る側の2極化を生む。

 

メデイアやマスコミのメイクストーリーは その価値を失い、

意識世界における差別はなくなる。

 

芸能人やミュージシャンの特別扱いは 続かなくなり、

誰もがあらゆる方法で自由に自分を表現できるようになる。

ただし、本物は残る。 選挙はネット投票になることで、

誰もが参加しやすくなる 様々な憶測と予想飛び交うサイトによって、

政治活動は可視化され、

選挙活動は今よりずっとシビアになる。

 

コミュニケーションネットワークの 進化によって今までの言語の壁が(同国民の中にも壁は存在する) 取り除かれていき、

ある一部の地域を除いて、

 

国境は便宜的なものになる。

 

携帯電話は世界を変えるのか??

 

携帯電話から始まったコミュニケーションの歴史は、

隣人を愛せるようになるのだろうか?

荒廃した世界を救う方法は、 隣人を愛することだけだ。

 

旅は続く。