シルベキシラナイセカイ

 

 

 

 

 

 

 

 

マイクロスコープを導入してから、

自分の仕事が何たるかを改めて知らされた。

歯科治療において

、繊細かつ大胆な気構えは 必要不可欠である。

診療の全てにマイクロスコープを用いることに異論はないが、

マイクロスコープの世界ばかりで考えることには反対である。

精密に治療を施すだけでは、 解決できない問題もたくさんあるからだ。

マイクロスコープ使う前に、

やらなきゃいけないことは山ほどあるしね。

そしてまた、マイクロスコープのない診療が、

自分にとっていかにずさんな診療につながるかという事実は、

認めなくない程に、

これまでの治療の反省と改善を容赦なく促す。

反省させられる反面、嬉しくもある。

15年間、歯科医の仕事を続けている中で、

ずっと取れない違和感の正体がやっとわかった。

 

見えているようで見えていなかったのだ。

自分が見えていないとは思っていなかった。

そもそも、そこを見ようとも思っていなかったのだ。

潜在の自分だけが知っていたのである。

見えないことへのジレンマを。 見ないことで、

煩わしさから解放されてはいたけれど、

虚しさからは解放されていなかったのである。

自分の仕事に対する誇りを、改めて実感できるようになった。

マイクロスコープの新世界を、

他の歯科医師に伝えても、

3年前の自分と同じ反応をする輩は少なくない。

ショールームで覗いても、 ピンとこないんですよ、

でもね、自分の診療室に一週間置いて使ってみてください。

まさに衝撃ですよ。

認めたくないほどにね。

どれだけずさんな仕事をしてきたか? ショックです。

ホントに。 もはやモラルの問題かもしれません。

保険診療とか自費診療とか、

そんなレベルの低い話をする前に、

一度でいいから診療室で使ってみて欲しい。

歯科医師の仕事が何たるか?

そこに気づけば、 初めて知る感覚に誇りが持てますよ。

今、マイクロスコープを使う歯科医院は 全国でも3%以下と言われている。

 

僕に言わせれば、マイクロスコープがない歯科治療は、

ヘッドライトがない車と同義です。

確かに、まだまだマイクロ自体が高額で、

保険制度からすれば、

誰にでもできる診療ではないという意見も理解できます。

これから開業する若いドクターにはこう言いたい。

チェア2台目入れる前にマイクロ買ってくれと。

今、メインテナンスにて、

過去に行った患者さんの治療後を、

随時マイクロスコープで確認している。

過去の自らの至らなさを、痛感する毎日である。

頭に浮かんで離れない言葉がある。

「知りながら害をなすな」

by Peter Ferdinand Drucker