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2012.03.13| CR治療の弱点

 

? 昨今、コンポジットレジン(CR)を使った治療が多様化し、

虫歯治療は金属を使う時代から、 主としてCRを使う時代に切り替わりつつある。

ミニマルインターベーションと称し、削る量を最小限に抑え、

自在にレジンを流し込んで光で固めるこの方法は、

金属をはめ込む方法に対して、歯を削る量が圧倒的に少ないゆえ、

これからの虫歯治療の主軸になることは間違いない。

 

しかも、接着システムやレジン材料の進化に伴い、

耐久性や審美性もどんどん進化している。

最近は金属価格も高騰しており、

金属を用いた歯科治療は歯科医院にとっても経済的負担が大きい。

 

しかも歯を大量に削るため、患者さんの負担も大きくなる。

できるだけCRで対処する考え方は倫理的にも正しいと言える。

 

 

だから、どんどんCRで治療しましょう。 というわけにはいかない。 ?以下の写真を見てほしい

 

 

一見、普通に見える第一大臼歯の咬合だが、、、、、

 

上顎の咬頭が下顎の咬頭に食い込み 下顎の咬頭がすり減っている。

上顎はエナメル質が残っているが、 下顎の咬頭が一部大きく削れてしまっている。

 

正確には、過去に詰めたCRが削れてしまっている。

 

下顎には過去ににCRが充填されており、

その周りのエナメル質が著しく咬耗していることから、

CR充填後の咬耗であり、

上下の位置関係からしてもエナメル質同士の咬耗ではないことが理解できる。

つまり、過去に虫歯治療において充填したCRだが、

やわらかいCRが一方的に削れてしまったのである。

しかも削りながら、上顎の歯牙の位置が変化してしまうのである。

上顎の大臼歯が、わずかに回転しながら挺出している。

CR治療をしなければ、こうはならなかったはずだ。

これがエナメル質同士であれば、

ここまで食い込むことはない。

むし歯を治療した代わりに、噛み合わせが変化してしまうリスクの 一例である。

 

実はこういったケースが近年増えてきている。

CRでなんでも対応するケースが増えてきたからだ。

 

短期的にみれば、CRはとても親切な材質だが、

長期的に見た場合、

かみ合わせを支えるエナメル質よりも柔らかいために、

すり減るスピードがとにかく速い。(CRの種類にもよるが)

 

?もちろん各個人差もあり、

むしろすり減ることで余計な力を逃がしているという 利点もあるため、

各症例によって是か非かは分かれる。

すり減ることが良いか悪いかは、

治療の目的によって変わるという事だ。

 

患者さんの咬合についてどこまで追求するかだが、

これはいろいろな場合があるため、 一概にこれが正しいとは言えない。

 

しかしながら何にせよ、

その治療方法の利点欠点を知らずに 選択すると、

後に予測外の事が生じる可能性が高くなる。

 

問題が生じてから考えても、

そもそも最初に考えていないわけだから、 対応が不十分となる。

 

短期的にみればCRはとても良い治療法であるが、

バーチカルストップに関わる咬頭、咬頭窩、

下顎前方運動時、下顎側方運動時における滑走面などの、

咬合の支持に深く関与する部分に用いる場合については 慎重に考えたほうが良い。

 

噛み合わせの将来的変化を予測しながら、

材料を選択することが望ましい。 虫歯があるから削る。

削ったところをCRで充填する。

 

臨床ではそれが日常茶飯事であり、

多くの患者さんを診察しなければならない時は、

咬合の細かいところまで対応できない現実がある。

 

誰もがこうなるわけではないが、 誰もがこうなる可能性を秘めている。

上下の噛み合わせにおいて、片方の機能咬頭が鋭角化し、

対するもう片方のCR充填歯が異常にすりっているケースを、

歯科医師なら誰でも経験するはずだ。

 

CRが割れたりするので、

再び削り、充填する際、 鋭角化した対合歯を鈍角にしておかないと、結局同じことが起こり、

挙句の果てに対合歯の挺出を招くことになる。

歯ばかりを見ていると、他の問題を見逃してしまうのだ。

 

この写真の症例はにおいては、

必ずしも上顎の咬頭を削合する必要はないが、

少なくとも、下顎に再びCRを施すにしても、 充填後の経過観察は必須となる。

 

?些細な虫歯治療が秘めている、将来のリスク。

この写真はそれを分かりやすく示しているのだ。

覚えておいてほしい、 いずれ、CRは天然の部分よりも早くすり減る。

 

それゆえに、 天然歯と同じように咬合を長期にわたり適切に支持できない。

だからこそ、定期的に観察し、必要に応じて修理、修正しなければならない。

誰にでも起こることではないだろうが、 誰にでも起こる可能性がある。

僕らはそれを忘れてはならない。 謙虚さとは、そういうものだ。

毛利先生写真

profile

院長 毛利啓銘
昭和46年11月19日生まれ
1996年東京歯科大学卒業

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